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マリモの育成試験
平成21年度から3ヵ年にわたって行われた児童・生徒によるマリモの育成試験は無事終了しました。成果の概要については、平成24年2月18日に阿寒湖畔で開催された「マリモと阿寒湖の自然調査報告会」で参加者自らが発表するとともに、同年8月18日に釧路市で開催された第93回日本生物教育学会でポスター発表しました。
1.育成試験の目的
阿寒湖では、これまでマリモ保護対策の一環としてマリモ生育地への一般の立ち入りが厳しく制限されてきました。しかし、そのことが一方でマリモへの無関心を助長し、地域における保護活動を不活発化させる一因になっているとの認識から、釧路市教育委員会と特別天然記念物「阿寒湖のマリモ」保護会では、地元の小学6年生を対象とした湖岸清掃をかねたマリモ生育見学会を平成6年から、また中学3年生を対象とした卒業記念の氷上マリモ観察会を平成9年から毎年1回開催しています。
こうした活動は地域におけるマリモの普及に対して一定の効果を上げたと考えられるものの、マリモ保護活動の担い手となる若手を輩出するまでにはいたっておらず、また事業対象が一部の児童生徒に限られているなど、改善・検討すべき余地が少なくありません。さらに、この10数年の間に阿寒湖におけるマリモの生態に関する研究は飛躍的に進歩しており、これまでの「触れる・感じる」といった体験的な取り組みを基礎としつつ、マリモの科学的な理解を深め、さらにマリモの生育場所である阿寒湖全体の環境保全をも広く視野に入れた新しい教育プログラムの開発が求められるようになってきました。
このような現状をふまえ、本事業では以下の二つの観点から児童生徒を対象とした教育事業を実施することによって、マリモと地域の自然環境への関心の喚起と理解・普及を図るとともに、一連の成果を将来のマリモ保全ならびに上記教育プログラム開発を始めとする阿寒湖の環境教育に役立てることを目標としています。
- 単なる知識の習得や体験を目的とした学習プログラムではなく、事業を通じて専門家が実施している実験や観測の一部を担うことによって、得られた成果をマリモの理解や保全に役立てられるようなプロジェクト参画型の事業構成とする
- 全事業(3年間で全5回を予定)を通じて参加することによって、阿寒湖におけるマリモの生態の多様性と環境との関わりや、阿寒湖で4タイプが見られるマリモ球化現象の全体像を理解することができる教育プログラムとする
2.育成試験のスケジュール
年度 |
事業回 |
内容 |
平成21年度 |
第1回
(終了しました) |
- マリモの生態と球化現象に関する学習
- 絡み合い型マリモの作製と栽培
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平成22年度 |
第2回
(終了しました) |
- 絡み合い型マリモの生長観察と測定
- 放射型マリモの標識と栽培
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第3回
(終了しました) |
- 阿寒湖の環境とマリモの生態の多様性に関する湖内巡検(絡み合い型や放射型など様々なタイプのマリモの生育場所を船で回って観察し、環境の違いとの関連を考察)
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第4回
(終了しました) |
- 絡み合い型および放射型マリモの生長観察と測定
- 阿寒湖に4タイプあるマリモ集合の比較(内部構造や大きさ・重さを計測し比較することによって、各タイプのでき方や特徴を分析)
- 野外での放流試験
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平成23年度 |
第5回
(終了しました) |
- 絡み合い型および放射型マリモの生長観察と測定
- 結果のまとめと総合考察
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