質問の中で圧倒的に多いのが「マリモの育て方を教えて」というものです。
詳しくうかがうと、「北海道の観光地でビンに入ったお土産のマリモを買って帰ったけれど、どうやって育てたらいいか分からない」といった内容が大半ですが、中には「栽培しているマリモが茶色に変色してしまった」とか、「丸い形がくずれてしまって、元に戻したい」というものもあります。
「マリモの育て方」と言っても、千差万別なんですね。
マリモはウニの仲間?
さて、マリモを育てるといっても、相手は阿寒湖の湖底に生育する天然のマリモではありません。ビン詰め・・・という特殊な環境に置かれたマリモを育てようとするのですから、おのずと注意すべき事柄や取り扱いの方法も違ってきます。
けれども、こうしたテクニックについてお話しする前に、まず<そもそもお土産マリモとは何なのか?>について触れておかなくてはなりません。マリモの何たるかを知らずに、育て方を語ることはできませんもの。 |
 |
出だしから脱線してしまいますが、私が大学院で藻類の勉強をしていた20年ほど前、とあるラーメン屋に入ったところ、カウンターのテレビに阿寒湖のマリモが映っていました。番組の内容はすっかり忘れてしまいましたが、画面を見ながら交わしていた中年男性2人の会話は、今でもありありと思い浮かべることができます。
- 「マリモは丸いけどよ、どこに口があんだ?」
- 「形はやっぱりウニに近いべ。でも色は緑だしな」
- 「じゃあよ、なに食ってんだ?」
- 「阿寒湖だから、そりゃやっぱりワカサギとかヒメマスだべさ」
- 「ウニがワカサギを食うか?」
- 「うーん、何か変だな」
その後も同じような話を何度か耳にしたことがありますから、当時、マリモがウニの仲間と思っていたのは、この中年男性に限ったものではなかったといってよいでしょう。
そして今日でも、「マリモの口はどこにありますか?」とか、「マリモは何を食べますか?」という質問がしばしば寄せられます。こうしてみると、マリモがどんな生物なのか、何を食べて生きているのか、世間では十分に知られていないのが現実かも知れません。
マリモの育て方(1) | マリモの育て方(2)