火山と温泉の湖
 アイスランド北部のミーヴァトン湖は、溶岩流による川の堰き止めによって、約2300年前にできました。一帯は、活発な火山帯に位置しているため、周辺には大小の火山がそびえ、水蒸気爆発でできた無数のクレーターが口を開けています。
 周辺はコケや灌木に被われた溶岩帯で、森林はほとんど発達していません。周辺からの流入河川はなく、湖水は東岸から湧き出す温泉や伏流水によってもたらされています。こうした温泉や伏流水の影響で、湖の東の湖面は冬の間も結氷することがありません。




 ミーヴァトン湖の球状マリモ。構造は阿寒湖と同じ放射型だが、柔らかい。
 ミーヴァトン湖。周辺には大小の火山がそびえ、蒸気爆発でできたクレーターが湖岸に点在している。湖面積は37平方kmで、阿寒湖の約2.8倍。平均水深は約2mと浅いことが特徴。



マリモ球状体群落の規模は阿寒湖の20倍
 ミーヴァトン湖では、浮遊する糸状のマリモが湖の全域に分布しており、風波によって湖水の流れが生じるたびに、この糸状マリモの分布域が大きく変わります。また、沿岸の溶岩帯では付着生活するマリモが広く見られ、この塊が溶岩から剥離・浮遊して球状に発達するものと考えられています。
 ミーヴァトン湖の球状マリモ群落。直径10〜13cmの球状体がおよそ2千万個あると推定された。 阿寒湖では直径10cm以上のマリモは約90万個とみつもられているので、ミーヴァトン湖にはその約20倍のマリモが生育していることになる。
 白いマリモ。数十個に1個の割合で、表面だけが白く変色したマリモが見つかった。遊走細胞を形成して、これを放出したためと見られる。
 マリモの繁殖機構が解明されるのではないかと期待されている。 
生態系の中のマリモ
 マリモは、光合成によって有機物と酸素を生成するだけでなく、微小な生物に生活場所を提供したり、水生動物や水鳥の餌として湖全体の生物を支える役割を担っています。特に、基礎生産力の乏しいミーヴァトン湖のような高緯度地方の湖沼では、多年生のマリモが一次生産者として生態系の中できわめて重要な位置を占めていると考えられるようになってきました。
 ミーヴァトン湖は水鳥の繁殖地として知られ、マリモは、これら水鳥の餌資源として重要な役割を担っている。春から夏にかけてたくさんのカモやハクチョウがヨーロッパや北アメリカから飛来する。近年、その飛来数が減少しており、同じく減少傾向にあるマリモの生育量との関係が注目されている。

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